2012年度 福井県 滋賀県 京都府 兵庫県 和歌山県 登録販売者試験
午後 2章 人体の働きと医薬品
(第1問)
人体の構造と働きに関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。
消化管は、口腔から肛門まで続く管で、平均的な成人で全長約( a )ある。飲食物はそのままの形で栄養分として利用できず、消化管で吸収される形に( b )する必要があるが、これを消化という。
番号 | a | b |
---|---|---|
3m | 分解 | |
9m | 代謝 | |
9m | 分解 | |
15m | 代謝 | |
15m | 分解 |
(第2問)
咽頭、食道に関する記述について、誤っているものはどれか。
番号 | 解答 |
---|---|
咽頭は、口腔から食道に通じる食物路と、呼吸器の気道とが交わるところである。 | |
食道に消化液の分泌腺はない。 | |
嚥下された飲食物は、重力によって胃に落ち込むのでなく、食道の運動によって胃に送られる。 | |
食道の下端にのみ括約筋があり、胃の内容物が食道や咽頭に逆流しないように防いでいる。 |
(第3問)
胆嚢、肝臓に関する記述について、正しいものはどれか。
番号 | 解答 |
---|---|
腸内に放出された胆汁酸塩の大部分は、小腸で再吸収されて肝臓に戻される。 | |
腸管内に排出されたビリルビン(胆汁色素)は腸管から分泌される酵素により代謝されて、糞便を茶褐色にする色素となる。 | |
小腸で吸収されたブドウ糖は、血液によって肝臓に運ばれて、蛋白質として蓄えられる。 | |
肝臓では、必須アミノ酸以外のアミノ酸は生合成できない。 |
(第4問)
大腸に関する記述について、誤っているものはどれか。
番号 | 解答 |
---|---|
大腸の粘膜上皮細胞は、腸内細菌が食物繊維を分解して生じる栄養分を、その活動に利用している。 | |
大腸の腸内細菌は、血液凝固や骨へのカルシウム定着に必要なビタミンK等の物質も産生している。 | |
通常、糞便の成分の大半は水分である。 | |
通常、糞便は直腸に滞留している。 |
(第5問)
呼吸器系に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a) 鼻腔の内壁は、粘膜で覆われた棚状の凹凸になっており、吸入された空気との接触面積を広げている。
b) 喉頭は、発声器としての役割もあり、喉頭上部にある声帯で呼気を振動させて声が発せられる。
c) 扁桃はリンパ組織(白血球の一種であるリンパ球が密集する組織)が集まってできている。
d) 喉頭の大部分と気管から気管支までの粘膜は線毛上皮で覆われている。
番号 | a | b | c | d |
---|---|---|---|---|
正 | 正 | 正 | 正 | |
誤 | 誤 | 正 | 正 | |
誤 | 誤 | 誤 | 正 | |
正 | 正 | 誤 | 誤 | |
正 | 誤 | 正 | 誤 |
(第6問)
血管系及び血液に関する記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
a) 動脈の多くは体の深部を通っているが、頚部、手首、肘の内側等では皮膚表面近くを通る。
b) 四肢を通る動脈では、一定の間隔をおいて内腔に向かう薄い帆状のひだが発達して血液の逆流を防いでいる。
c) 消化管壁を通っている毛細血管の大部分は、門脈と呼ばれる血管に集まって肝臓に入る。
d) 血液の粘稠性は、血中脂質量が大きく影響する。
番号 | 解答 |
---|---|
( a , b ) | |
( a , c ) | |
( b , d ) | |
( c , d ) |
(第7問)
白血球に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a) 好中球は、血管壁を通り抜けて組織の中に入り込むことができる。
b) リンパ球は、白血球の約1/10を占め、血液のみに分布して循環している。
c) リンパ球は、細菌、ウイルス等の異物を認識したり、それらに対する抗体を産生する。
d) 単球は白血球の中で最も小さく、強い食作用を持つ。
番号 | a | b | c | d |
---|---|---|---|---|
誤 | 正 | 正 | 誤 | |
正 | 誤 | 正 | 正 | |
誤 | 正 | 誤 | 正 | |
正 | 誤 | 正 | 誤 | |
正 | 正 | 誤 | 正 |
(第8問)
腎臓に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a) 腎臓には、心臓から拍出される血液の1/5~1/4が流れている。
b) 食品から摂取あるいは体内で生合成されたビタミンEは、腎臓で活性型ビタミンEに転換される。
c) 尿細管では、原尿中のブドウ糖やアミノ酸等の栄養分及び血液の維持に必要な水分や電解質が再吸収される。
d) 副腎皮質では、自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌される。
番号 | a | b | c | d |
---|---|---|---|---|
誤 | 正 | 正 | 誤 | |
正 | 正 | 誤 | 正 | |
正 | 誤 | 正 | 誤 | |
誤 | 正 | 誤 | 正 | |
正 | 誤 | 正 | 正 |
(第9問)
鼻に関する記述について、正しいものの組み合わせはどれか。
a) においに対する感覚は非常に鋭敏であるが順応を起こしやすく、長時間同じにおいを嗅いでいると次第にそのにおいを感じなくなる。
b) 鼻腔上部の粘膜にある全ての細胞は、においの元となる物質の分子に刺激されると、その刺激を脳の嗅覚中枢へ伝える。
c) 鼻中隔の前部は毛細血管が少なく、粘膜は厚いため、傷つきにくく、鼻出血を起こしにくい。
d) 鼻は嗅覚情報の受容器官であり、食品からの嗅覚情報は、舌が受容した味覚情報と脳において統合され、風味として認識される。
番号 | 解答 |
---|---|
( a , b ) | |
( a , d ) | |
( b , d ) | |
( c , d ) |
(第10問)
耳に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a) 外耳道の軟骨部には耳毛が生えていて、空気中の埃等が入り込むのを防いでいる。
b) 鼓室の内部では、独立した微細な2つの耳小骨が鼓膜の振動を増幅して、内耳へ伝導する。
c) 蝸牛は渦巻き形をした器官で、内部は血液で満たされている。
d) 前庭は、水平・垂直方向の加速度を感知する部分(耳石器官)と、体の回転や傾きを感知する部分(半規管)に分けられる。
番号 | a | b | c | d |
---|---|---|---|---|
正 | 誤 | 正 | 誤 | |
誤 | 正 | 正 | 誤 | |
誤 | 誤 | 正 | 正 | |
正 | 正 | 誤 | 誤 | |
正 | 誤 | 誤 | 正 |
(第11問)
外皮系に関する記述について、誤っているものはどれか。
番号 | 解答 |
---|---|
角質層は、細胞膜が丈夫な線維性の蛋白質でできた板状の角質細胞と、セラミドを主成分とする細胞間脂質で構成されている。 | |
メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラニン産生細胞で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。 | |
真皮は、線維芽細胞とその細胞で産生された脂質からなる結合組織の層で、皮膚の弾力と強さを与えている。 | |
皮脂の分泌が低下すると皮膚が乾燥し、皮膚炎や湿疹を起こすことがある。 |
(第12問)
中枢神経系に関する記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組み合わせはどれか。
脳における細胞同士の複雑かつ活発な働きのため、脳において、酸素の消費量は全身の約( a )、ブドウ糖の消費量は全身の約( b )、血液の循環量は心拍出量の約( c )である。
番号 | a | b | c |
---|---|---|---|
15% | 20% | 25% | |
15% | 25% | 20% | |
25% | 20% | 15% | |
20% | 15% | 25% | |
20% | 25% | 15% |
(第13問)
副交感神経系が活発になったときの効果器(効果を及ぼす各臓器・器官)の反応として、正しいものはどれか。
番号 | 解答 |
---|---|
副交感神経系が活発なとき、唾液腺では唾液分泌が亢進する。 | |
副交感神経系が活発なとき、心臓では心拍数が増加する。 | |
副交感神経系が活発なとき、腸では運動が低下する。 | |
副交感神経系が活発なとき、膀胱では排尿筋が弛緩する。 |
(第14問)
薬の吸収に関する記述について、誤っているものはどれか。
番号 | 解答 |
---|---|
一般に、消化管からの吸収は、消化管が積極的に医薬品の成分を取り込むのではなく、濃い方から薄い方へ拡散していくことによって消化管にしみ込んでいく現象である。 | |
鼻腔粘膜から吸収された点鼻薬の成分は、毛細血管から循環血液中に移行しやすく、始めに肝臓で代謝を受けることなく血流に乗って全身へ巡るので、全身性の副作用を生じることがある。 | |
坐剤は、肛門から挿入すると直腸内で溶け、有効成分が容易に循環血液中に入るため、内服薬と比べ速やかに全身作用が現れる。 | |
皮膚に適用する医薬品(塗り薬、貼り薬等)は、有効成分が皮膚から吸収されて循環血液中に入り、全身作用をもたらすことを目的とするものがほとんどである。 |
(第15問)
薬の代謝、排泄に関する記述について、誤っているものはどれか。
番号 | 解答 |
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代謝とは、物質が体内で科学的に変化することである。 | |
消化管で吸収された医薬品の成分は、消化管の毛細血管から血液中へ移行する。 | |
血漿蛋白質と複合体を形成している分子も、形成していない分子と同様に腎臓で濾過される。 | |
医薬品の成分が乳汁中に移行する場合、代謝を受けないまま乳汁中に移行することが多い。 |
(第16問)
医薬品の剤型に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a) 口腔内崩壊錠は、口の中で唾液によって比較的速やかに溶けるため、水なしで服用することもできる。
b) 粒の表面がコーティングされている顆粒剤は、噛み砕かずに水などで喉に流し込む必要がある。
c) カプセルの原材料として広く用いられているゼラチンはブタなどの蛋白質であるため、アレルギーを持つ人は注意が必要である。
d) 外用局所に適用する剤型として軟膏剤、クリーム剤、貼付剤、シロップ剤、噴霧剤等がある。
番号 | a | b | c | d |
---|---|---|---|---|
正 | 正 | 正 | 誤 | |
正 | 正 | 誤 | 正 | |
正 | 誤 | 正 | 正 | |
誤 | 正 | 正 | 正 | |
正 | 正 | 正 | 正 |
(第17問)
全身に現れる医薬品の副作用に関する記述について、誤っているものはどれか。
番号 | 解答 |
---|---|
ショック(アナフィラキシー)は、発症してから進行が非常に速い(2時間以内)ことが特徴である。 | |
皮膚粘膜眼症候群は、高熱(38℃以上)を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が、比較的短期間に全身の皮膚、口、目の粘膜に現れる病態である。 | |
偽アルドステロン症は体内にカリウムと水が貯留し、体からナトリウムが失われたことに伴う症状である。 | |
中毒性表皮壊死症は、全身が広範囲にわたって赤くなり、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められる。 |
(第18問)
循環器系に悪影響を生じるおそれが特に大きいなど、心臓や血圧に現れる医薬品の副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせはどれか。
a) 高血圧や心臓病等の診断を受けた人は使用しないこととされている。
b) 心臓や血圧に現れる副作用が重篤化すると失神(意識消失)を起こすこともある。
c) 副作用で現れる鬱血性心不全は代謝機能の低下によって発症するリスクが高まるとされている。
d) 適正に使用されれば、動悸(心悸亢進)や一過性の血圧上昇、顔のほてりを生じることはない。
番号 | a | b | c | d |
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正 | 誤 | 正 | 誤 | |
誤 | 正 | 正 | 誤 | |
正 | 正 | 正 | 誤 | |
誤 | 誤 | 正 | 正 | |
正 | 誤 | 誤 | 正 |
(第19問)
目に現れる医薬品の副作用に関する記述について、誤っているものはどれか。
番号 | 解答 |
---|---|
瞳孔の散大(散瞳)を生じうる成分が配合された医薬品を使用した後は、乗物や機械類の運転操作は避ける必要がある。 | |
眼圧の上昇に伴って起きる症状は、目のみに現れ、頭痛や吐き気・嘔吐等の症状が現れることはない。 | |
眼球内の角膜と水晶体の間を満たしている房水が排出されにくくなると、眼圧が高くなって視覚障害を生じる。 | |
抗コリン作用がある成分が配合された医薬品の使用によって眼圧上昇(急性緑内障発作)が誘発されることがある。 |
(第20問)
薬疹に関する記述について、誤っているものはどれか。
番号 | 解答 |
---|---|
医薬品の使用によって引き起こされる、発疹・発赤等の皮膚症状を薬疹という。 | |
薬疹は医薬品を使用してから1~2週間までの間に起きることが多いが、長期間服用してから生じることもある。 | |
同じ医薬品であれば、発疹型は必ず同じである。 | |
薬疹が疑われる痒み等の症状に対して、一般の生活者が自己判断で別の医薬品を用いて対症療法を行うことは、原因の特定を困難にするおそれもあり、避けるべきである。 |